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キャリアアドバイザーコラム

パワハラ防止関連法について

厚生労働省は10月21日、職場でのパワハラ行為の定義及びパワハラか否かの判断例などを
盛り込んだ指針の案を、労働政策審議会の分科会に示しました。

しかし、示された「パワハラに当たらない例」が加害者の弁解にも利用できるような内容であったことから
パワハラ防止の実効性がないばかりか、害悪を生じかねないとして
日本労働弁護団から案の修正を求める緊急声明が発表されました。
既に22日の時点で厚生労働省の該当ページは削除されています。

この案は2020年から適用されるパワハラ防止関連法の準備として
企業に防止対策を促すための一定の判断基準を示すのが目的でした。

そこで、今回はこのパワハラ防止関連法について説明をいたします。

正式な名前は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
略して「労働施策総合推進法」と呼ばれている法律で、2020年の5月に成立しました。
この法律が推進させようとしている労働施策の一つがパワハラ防止となっています。

パワハラ関連法の内容

(1)パワハラの定義
a.優越的な関係を背景とした言動
b.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
aとbによってc.就業環境を害する事
このabc全てに該当すること。

(2)防止に関して事業主に求められる対策
・雇用管理上の措置義務
・事業主への相談等を理由とした不利益取り扱い禁止

(3)悪質な企業には国が是正指導や是正勧告、従わない場合は企業名を公表

上記abcの具体的な内容や、パワハラに該当する/しない行為の例、
雇用管理上の措置の具体的内容については、厚生労働大臣が指針を策定することとされ
正に今話し合いが行われている最中です。

そんな中で発表されたのが今回の指針だったのですが
今回のようにパワハラの例を限定してしまえば被害者が声を上げにくくなってしまいますし、
逆に何でもパワハラ認定してしまうのも業務に支障がでてしまいそうです。

パワハラの明確な線引きが難しい事があらためて浮き彫りになった1件となりました。

ちなみにパワハラ防止関連法の対象は今の所大企業のみ、中小企業は努力義務となっていますが
いずれ全ての企業が対象になると思われます。

誰にとっても関係のある事柄ですので、皆さんも是非興味を持って調べてみることをおすすめいたします。

参考:厚生労働省「明るい職場応援団」https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

国家資格キャリアコンサルタント
衣笠 敬広Takahiro_Kinugasa

大学を卒業後、冠婚葬祭の会社に就職し、葬祭ディレクターとウェディングプランナーを経験。
キャリアが変わっても同じ「人生のお手伝い」に喜びを感じています。

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