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研修医の平均年収(前期・後期)|研修医の収入は低い?

研修医は、かつては激務なうえに給料が安く抑えられていましたが、2004年4月からの新医師臨床研修制度や働き方改革によって、待遇が改善されてきました。しかし、医療機関によって研修医の年収には差があるのが実情です。また、前期研修医と後期研修医では年収水準に違いがあります。研修医の平均年収について、前期研修医と後期研修医に分けて解説します。
 

研修医の平均年収

大学の医学部を卒業し、医師国家試験に合格すれば、医師免許を手にすることができますが、診療に従事する前に、研修医として医療機関で研修を受けることが必要です。医師の研修は卒後1・2年目の前期研修と卒後3~5年目の後期研修に分けられます。前期研修(初期研修)は、医師法によって義務づけられた2年間の臨床研修です。

一方、後期研修は前期研修を修了後の3年間の研修です。後期研修は法令によって義務づけられたものではなく、学会や日本専門医機構、あるいは医療機関による独自のプログラムです。しかし、多くの医師が専門分野を深めて、専門医を取得するために、後期研修も受けています。法律上は研修医という職業は存在していませんが、前期研修医、後期研修医という呼ばれ方をしています。ただし、単に研修医という場合は前期研修医を指し、後期研修医は医師としての位置付けになります。

前期研修医の平均年収

1年目 2年目
臨床研修病院 451.0万 502.1万
大学病院 307.4万 312.3万

参考:厚生労働省 臨床病院における研修医の処遇

厚生労働省の「臨床病院における研修医の処遇」によると、前期研修医の平均年収は臨床研修病院(市中病院)と大学病院では大きな開きがあります。研修医1年目の平均年収は、臨床研修病院は451万円なのに対して、大学病院は307万円で、150万円近い差があります。2年目は臨床研修病院は502万円、大学病院は312万円とさらに差が大きくなります。

厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」による、新規学卒者の賃金は大学院卒の場合で25万5,600円です。これを年収ベースに換算すると、12ヶ月分として306万7,200円、賞与を踏まえて14ヶ月分とすると357万8,400円です。医学部は6年制のため、一般的な院卒の年収と比較した研修医の年収水準は、臨床研修病院の場合は高水準で、大学病院は同等程度、もしくは低めといえます。
また、前期研修医の年収には地域差もあり、都市部よりも北海道や東北などの地方の方が高い傾向があります。

後期研修医の平均年収

■後期研修医の平均年収

  • 所定内給与額:777万円4,800円(64万7,900円×12ヶ月)
  • 年間賞与その他特別給与額:55万6,700円
  • 年収:833万1,500円

 

※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」医師のうち経験年数1~4年から算出

参考:令和2年賃金構造基本統計調査

後期研修医も臨床経験を積んでいくことが必要な段階にあり、研修先の病院では技術的な指導を受ける立場です。しかし、後期研修医は医師としての位置付けとなるため、前期研修医よりも大幅に年収がアップします。
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに算出した、後期研修医の平均年収は833万1,500円です。ただし、経験年数1~4年の医師のデータを使用しているため、後期研修医の実際の平均年収とは差異があることが考えられます。
また、後期研修医の年収にも地域差があり、首都圏などの都市部は病院の数が多いため、年収が安い傾向となっています。

とはいえ、後期研修医は20代後半の年収としては高水準です。厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」において、多くが後期研修医に該当する層の1ヶ月分の所定内給与額64万7,900円なのに対して、20代後半の平均所定内給与額24万4,600円と大きな差があります。

研修医の年収の内訳

研修医の年収の内訳は、主に基本給と当直手当からなる給与、そして賞与です。研修医の年収の内訳のそれぞれの項目についてみていきます。

基本給

基本給とは、諸手当を含まない給与のベースとなる賃金です。基本給は医療機関や企業によって異なり、一般的に能力や役職、年齢、学歴、勤続年数などによって決められています。基本給はこれらにもとづいて、独自の基準による基本給表で定めた金額とされるのが一般的です。
一方、給与は基本給や時間外手当、当直手当、深夜勤務手当のほか、医療機関や企業によっては通勤手当や家族手当、役職手当、あるいは歩合給といった諸手当を含んだものです。

また、給与と手取り額には違いがあります。給与から源泉所得税、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料のほか、研修医(社会人)2年目以降は住民税が控除された額が手取り額となります。また、団体保険の保険料や財形貯蓄の積立金なども、加入している場合は控除されます。

当直手当

当直手当は当直勤務に対して支払われる手当です。当直勤務とは、定期的な巡回や緊急事態が発生したときの対応など、通常業務とは異なる業務につくことをいいます。これに対して、夜勤は通常業務を行う場合を指します。当直勤務には諸条件があり、労働基準監督署の許可が必要です。一般的に当直のうち、夜間の勤務を宿直、土曜日や日曜日、祝日などの日中の勤務は日直と呼ばれています。
医療法では、原則として病院に医師を当直させることが義務づけられていることから、診療時間外に常駐する医師が必要になります。医師は当直勤務の際には、入院患者が急変したときや緊急搬送が行われたときの対応を行います。

当直手当は労働基準法で宿日直手当とされるもので、基本賃金の1/3以上の支払いが義務づけられています。ただし、これは最低基準のため、実際の支給額は医療機関によって異なります。

賞与

賞与とはいわゆるボーナスのことです。給与と異なり、賞与は必ずしも支払われるものではありませんが、多くの医療機関や企業で賞与が支給されています。賞与の支給がある場合は夏と冬の年2回、あるいは年1回が一般的ですが、業績によっては支給されないケースや支給額が減額となるケースもあります。
たとえば、求人広告などで「賞与年2回前年度実績4ヶ月分」と記載がある場合は、賞与の支給が年2回あり、合計で給与の4ヶ月分が前年度は支払われているという意味です。給与が30万円の場合は、1回につき60万円が支給され、年間の賞与の合計額は120万円となります。

ただし、賞与の計算には、給与のうち基本給のみが対象となることが多い点に注意が必要です。また、実際には人事考課によって支給額が調整されるのが一般的です。賞与からも源泉所得税や健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料が控除されます。
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後期研修医は副業もできる

前期研修医は研修に専念する義務があることから、アルバイトは認められていません。一方、後期研修医は基本的にはアルバイトなどの副業をすることができます。研修医の副業は知人を通じて当直のアルバイトをするなど、研修先とは別の医療機関で働く、外勤をすることが多いです。

ただし、研修先の医療機関によっては副業が禁止されていることがあるため、事前に確認しておくことが大切です。副業には事前の申請が必要な場合は必ず申請するようにします。ただし、当直などの副業によって睡眠不足になるなど、本業に支障をきたさないように注意が必要です。

後期研修医の時期に、定期的に他の医療機関で働いて収入を得ることで、奨学金の返済に充てているケースもあります。また、金銭的な目的以外では、経験を積むために他の医療機関での副業をする医師もいます。

研修医の仕事内容

【研修医の主な仕事内容】

  • 病棟での回診
  • 処置や簡単な手術
  • 手術の助手
  • カンファレンスへの参加
  • 救急外来での診察
  • 外来での初診の診察
  • 電子カルテへの記載
  • 紹介状の作成

研修医の仕事内容は基本的に一般的な医師と同じですが、指導医のもとで臨床経験を積むことを目的としています。研修医の仕事は病棟業務や緊急外来が中心ですが、医療機関や診療科目によっては、外来での初診の診察を担当する機会もあります。ただし、研修医が重要な判断を下すことは基本的にはありません。病棟では担当する患者の回診を行った後、指導医に報告をして、治療方針を考えたうえで相談をします。


まとめ

研修医は病院によって年収の格差が大きいことから、医療機関を選ぶ際には年収も大切な要素として考慮するべきです。前期研修医では、大学病院よりも市中病院の方が研修医の年収が高い傾向があります。また、後期研修医は研修先とは別の医療機関で当直をするなど、副業として医療機関を掛け持つことも少なくありません。

約半数の人が前期研修と後期研修で別の医療機関を選択するとされています。医師としてのキャリア形成を踏まえたうえで、年収などの条件の希望も叶えるには、転職エージェントに相談するのがおすすめです。

【医師ベストキャリア】は医師専門の転職エージェントとして、20年の実績があります。国家資格のキャリアコンサルタントも多数在籍していますので、研修先や就職先の医療機関のほか、キャリアプランも相談することができます。

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キャリアアドバイザー
寺本 朱里Akari_Teramoto

兵庫県神戸市出身。法学部卒業、就活時に自身がエージェントを利用したことをきっかけに人材紹介会社への入社を決意。現在は関東エリアの医師転職支援に従事。

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