CAREER ADVISOR COLUMN
キャリアアドバイザーコラム

厚労省が動き出した!公立病院神話の崩壊‥、医師のキャリアはどうなる!?

医師が仕事を失う時代の到来!?
厚生労働省は市町村などが運営する全国424の公的・準公的病院について、
診療実績が少なく、非効率な医療を招いているとの理由から
「再編統合について特に議論が必要」とする分析をまとめました。

地域内の他の病院などと協議しながら、
ベッド数や診療機能の縮小なども含む再編を地域で検討し、
2025年までに他の病院への統合や病床数の削減、
診療機能の縮小などを終えるよう要請する方針のようです。

現時点では罰則規定や強制力はなく、権限は各地域に委ねられているため、
住民の反発も予想される中での改革が進むかは不透明な状態ではあるものの、
今回は病院名が公表されているあたりから国の本気度も垣間見えて、
遂にこの時が来たか‥と、不安が現実になったような感覚をお持ちの
先生も多いのではないでしょうか。

しかも公的病院ということで
大学医局派遣先の病院名もずらっと並んでおり
今後に不安をお感じになった先生も、少なからずいらっしゃることと思います。

この流れは、今後の医師のキャリアに
どのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか?

まだまだ「公的病院=安定」というあまり根拠のないイメージが浸透していますが、
この数年は、とある公的病院を民間移譲して病床閉鎖したケースや、
市民病院の全職員の給与20~30%カットなどの実例も出てきており、
このタイミングで転籍をなさる先生方のお手伝いも増えてきました。

中には、ご勤務中の公的病院が赤字で
「まだ自分は症例も積みたいしまだ子供が小さいから、病院が無くなる前に転職したい‥」
とご依頼をいただいた先生も、この2~3年で徐々に増えてきております。

  ※ ※ ※ ※

そこにきて、今回の厚労省の要請が具体的となり、
今後、公的病院の統廃合、もしくは不採算診療科の縮小・廃止に舵を切るとなれば、
まず最初に頭に浮かぶのはやはり働く職員の雇用継続の有無です。

特に医師は、病院内でも給与が格段に高水準のため、
経営がうまくいっていない限りは、余剰人員を置くことは出来ません。
そうなると、病院側が必要ないと判断する医師は、必然的に解雇となります。

また統廃合が進んで病院数・病床数が減れば、
公的民間合わせてもそのエリアでの医師の雇用数が減ります。
つまり、転職をしようとしても募集先が無かったり、競合相手が出てきたり‥
決して楽ではない転職活動が待ち受けることになるでしょう。

更に、公的病院を離職した医師が転職をする動きが活発になれば、
今まで採用に苦戦してた地域の民間病院の門戸が広がり、
より良い人材を採用しようとの動きが高まりますので、
面接で内定を勝ち取る難易度も変わってくることになります。

「経験」「スキル」「年齢」「医師としての考え方、大切にしていること」
「コミュニケーション能力」「向上心」「柔軟性」「人間力=人柄」などを、
法人側は今まで以上に総合的に判断し、自分の組織に合う先生の採用を進めていくことになるでしょう。

このような、いわゆる一般企業的な選考が進めば、
転職をしたい先生側が希望通りの転職を果たすことが難しくなることも予想されます。

このような時代の流れを鑑みると、
医師が自分のキャリアを自分の努力だけで掴み取ることは、
今まで以上に難しくなる可能性があり、
そのような時代が到来した時に後悔の無いキャリアを積んでいることが出来るよう、
今のうちから様々な準備が必要となりそうです。

準備の一つには転職もありますが、医師の転職はそんなに簡単なことではありません。

一方で、転職という大きな決断をせずとも、
まずは、先の選択肢を拡げるために現職場で可能な専門以外の分野にも
積極的にチャレンジして経験を積んでおくなども有効な手段の一つではないでしょうか。

今後の超高齢化社会を見据えると、総合診療的な働き方や在宅診療などは、
どのような職場に行っても重宝される経験では無いかと思います。

ぜひ、今回の厚労省の動きをきっかけに
先生方が後悔をせず、理想のキャリアを手に入れていただけるよう、願っております!

なお、当社・CBキャリアでは、先生方のキャリア相談もお受けしております。
現在の状況にお悩み・不安をお持ちの先生はどうぞお気軽にご相談くださいね。

キャリアアドバイザー
加納 由理Yuri_Kanou

教育学部卒業後、語学関係の企業へ。「もっと人の転機に貢献できる仕事がしたい」と転職。産休を2回取得し家では怪獣(子供)の相手をしながら、アドバイザーとして奮闘中。

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