急性期や回復期退院後、長期に療養が必要な患者さんの受け入れ先となっているのが療養型病院です。
急性期病院や回復期リハビリテーション病院を経た後、
在宅での療養が難しい方、神経難病で長期入院している方、
がん末期などのターミナル期を迎えている方などさまざまな病状の患者さんが入院されています。
療養型病院は、昨今の診療報酬改定の影響から、
比較的医療度が高い方(医療区分Ⅱ・Ⅲ)を受け入れる傾向が強くなっており、
実は積極的に治療しなければ悪化してしまう入院患者さんも一定数いらっしゃることが特徴です。
その上、前述のとおり入院患者さんの疾患が多領域にわたっているため、全身を診る臨床能力に加えて、
さまざまな専門領域の医師がキャリアを活かせる場面は、大変多いようです。
高齢者特有の疾患では、主に循環器系・呼吸器系・消化器系疾患をお持ちの患者さんは多く、
と同時に、入院中に尿路感染を起こすなどの泌尿器系や誤嚥性肺炎などから呼吸器系のニーズもあります。
このように、各専門科の医師が専門領域のスキルを発揮しながら、
全身管理という点でジェネラルな視点の臨床経験を活かすことができるのが療養型病院の勤務の醍醐味です。
このようなやりがいの一方で、
【ワークライフバランスを保つことが出来る】ことも、また療養型病院の特性です。
全体的に療養型病院の勤務はゆったりしているところが多く
ほぼ残業が無く、時間外は全て当直医対応のためオンコールも無し。
夜間は人気の管理当直を外部医師で回すことにより、
常勤医師の負担軽減を図っている病院もかなり多いように思います。
このような落ち着いた働き方が叶うため、勤務条件に融通が利かせやすい側面があることから、
・急性期病院のハードな勤務を卒業して、キャリアチェンジをなさる先生
・子育て中の医師
というような先生方も、かなり多く活躍をされています。
勤務の実情が一般の勤務医にあまり知られていないこともあり
「療養型=キャリア維持が出来ない」という誤解を招くことが多い療養型病院勤務ですが、
実は、そんなことはなく、むしろ【医師人生の集大成】としてお考えになることも出来る
働き方ができる魅力的な環境があります。
しかも、年収などの条件も意外と悪くない療養型病院。
超高齢社会を迎えた日本では、ますますニーズが高まる高齢者医療。
今後、医師が飽和状態になる時代が到来する前に、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
教育学部卒業後、語学関係の企業へ。「もっと人の転機に貢献できる仕事がしたい」と転職。産休を2回取得し家では怪獣(子供)の相手をしながら、アドバイザーとして奮闘中。