CAREER ADVISOR COLUMN
キャリアアドバイザーコラム

医師の働き方改革について│過労死ライン(月間残業100時間)超えが常態化している現状を考える

一般企業の当たり前が、未だに多くの医療機関ではなされていない。 医師の実労働時間の正確な把握と、法廷通りの残業代の支給が急務。
過労死問題の病巣は、医療機関が医師の実態に即した、
正確な労働時間を『知らないふり』をしているという声を聞きます。
そして、『残業代を労働基準法通りに支給していない』ことが、より問題を根深くしています。

実際に、私の友人の医師や転職のお手伝いをした先生方から聞いたお話ですが、
入職時に管理医師や事務長から、「20時以降も業務をした場合のみ残業の申請が可能」と言われたり、
「月の制限は○△時間まで、それ以上の残業は申請不可」というような院内ルールを伝えられたと聞いたことがあります。

残業代について、医療機関が法律に反するルールを設けるこは当然違法です。
必ず労働基準法に基いて計算しなければなりません。

ここ5,6年程は、全国の医療機関に労働基準監督署の指導が入り、
カルテの履歴を確認するなどの方法で医師の実労働時間を把握して、
残業代未払いがある場合には過去に遡って支払うように指導がなされているようです。

今後は労働基準法に則り、不正をする医療機関は減っていくと予想されます。

一方で、仮に医師の実労働時間を正確に把握して、法廷通りの残業代を支払うとします。

残業代は週の労働時間40時間越えた分は25%、深夜残業は50%割増になりますから、
なるべく医師の残業時間を減らして、定時に帰れるようにクラークを増やすという発想に至るはずです。
労働単価の高い医師が、残業すればするほど支払額が高額になるこtから、
別途クラークを増やすほうが節約出来ます。

昨今では、高収益企業ほど残業時間が少なく、
時短やリモートワークなどのさまざまな働き方を推奨しています。
非効率的に働き、さらに残業代を上乗せすることは、生産的ではありません。

しかし、医師のサービス残業が常態化している現状では、
別でクラークを雇うという発想がそもそも出てきていないのではないでしょうか。

真っ先にすべきことは、まずは医師の実労働時間を正確に把握し、
法定通りの残業代を支払うことです。

そうすれば、「残業代を減らすためには、どのような対策をうつ必要があるのか?」
という本質的な議論に繋がるはずです。

キャリアアドバイザー
加納 由理Yuri_Kanou

教育学部卒業後、語学関係の企業へ。「もっと人の転機に貢献できる仕事がしたい」と転職。産休を2回取得し家では怪獣(子供)の相手をしながら、アドバイザーとして奮闘中。

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