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医者の平均年収は、全職種の中でもトップクラスに入ります。ただ、医者の年収は診療科目や、勤務する医療施設が国立か公立かといった経営形態によっても差があります。また、年収を上げるなら開業医というイメージがありますが、意外と支出も多い点にも注意が必要です。
この記事では、診療科目や経営形態別の平均年収のデータをもとに、医者が年収を上げる方法をご紹介します。医者として収入を上げたい方は参考にしてください。
全職種の中で医者の平均年収はトップクラスに入るため、一般的に医師は儲かる職業といえるでしょう。世間から見ても、医者と聞けば年収が高いというイメージが浸透しています。
ただ、医者は診療科目によっては当直やオンコールが多く、徹夜が続いたりプライベートが全くない位のハードな仕事だったりすることで、医者の中には年収が高いけど割に合わないと感じる人もいます。実際のところ医師の年収は業務に見合ったものになっているのでしょうか?医師の年収の仕組みについて、記事の中で少しずつ解説していきます。
医者の年収がどれくらいなのか、一般労働者と医者全体の平均年収を比較してみましょう。
なお、一般労働者の平均年収は、国税庁が発表している令和2年分 民間給与実態統計調査、給与所得者1人あたりの平均給与を使用しています。
男女別の平均年収 | ||
一般労働者 | 男性 | 532.2万円 |
女性 | 292.6万円 | |
医師 | 男性 | 1,522.5 万円 |
女性 | 1,183.2万円 |
一般労働者の男女別平均年収参照元:国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査
医者の男女別年収参照元:参照元:令和2年賃金構造基本統計調査
どちらも全年齢平均の年収ですが、全体的には男性の方が女性よりも平均年収が多い点は、一般労働者、医者とともに共通しています。また、一般労働者と医者の年齢を比較すると、男性医師は一般労働者男性の年収の約3倍、女性医師は一般労働者女性の年収の約4倍となっており、医者の年収がいかに高いかがわかります。
令和2年度賃金構造基本統計調査の内容をもとに、主な職業の平均年収を以下のようにまとめました。
職業 |
平均年収 |
航空機操縦士(パイロット) |
1,725.2万円 |
医師 |
1,440.3万円 |
大学教授(高専含む) |
1,073.3万円 |
公認会計士・税理士 |
958.4万円 |
法務従事者(裁判官、検察官、弁護士など) |
878.7万円 |
参照元:令和2年賃金構造基本統計調査
一般労働者と比べて、医者の年収はかなり高めであることがわかりましたが、全職種を通じても医者の平均年収はパイロットに次いで2位です。弁護士や公認会計士、税理士といった職種と比べても、平均年収ははるかに医者の方が上回っていることがわかります。
医者が儲かるのは、職業の専門性が高く、技術も求められるためです。また、治療内容によっては、人の命にかかわることもある責任の重い職種でもあります。医者の仕事は年収だけを見ると儲かる職種といえますが、業務上負うリスクの大きさに収入が比例していると考えられます。
医者の中でも、勤務医か、開業医か?また、診療科目によっても年収が大きく異なります。勤務医と開業医の年収はそれぞれ以下のとおりとなっています。
平均年収 |
|
勤務医平均年収 |
1,490.9万円 |
開業医平均年収 |
2,763.4万円 |
また、勤務医では年収が低いにもかかわらず、開業医になると年収が高くなる診療科目もあります。
この2点について勤務医と開業医の診療科目別の年収を見ながら解説していきます。
まず勤務医の診療科目別の平均年収は以下のとおりです。
診療科目 |
平均年収 |
脳神経外科 |
1,480.3万円 |
産科・婦人科 |
1,466.3万円 |
外科 |
1,374.2万円 |
麻酔科 |
1,335.2万円 |
整形外科 |
1,289.9万円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 |
1,267.2万円 |
内科 |
1,247.4万円 |
精神科 |
1,230.2万円 |
小児科 |
1,220.5万円 |
救急科 |
1.215.3万円 |
その他 |
1,171.5万円 |
放射線科 |
1,103.3万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 |
1,078.7万円 |
参照元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 勤務医の就労実態と意識に関する調査
勤務医の中では、脳神経外科がもっとも平均年収が高く、産科・婦人科、外科と続きます。脳神経外科はくも膜下出血や脳内出血など緊急を要する手術が多く、時間外手当が増えること。また、治療を一歩間違えば、患者に重大な後遺症を残してしまう可能性があるリスクの高い科目です。また産科・婦人科のうち、産科は急な分娩のためにオンコールが多くなりがちなことや、分娩のトラブルで訴訟リスクが高く、敬遠されがちな診療科目であり年収が高くなる傾向があります。
このように年収が高い診療科目は、緊急対応が多いことやリスクが高いという一面もあるため、年収が高くても手放しで喜ぶというわけにはいかないようです。医者として長く働いていくためには、年収とワークライフバランス両面を考慮していく必要もあるでしょう。
開業医の診療科目別の平均年収ランキングは次のとおりです。産婦人科が上位にあるのは、勤務医と同様ですが、特徴的なのは、勤務医では年収が低かった眼科が、開業医では平均年収が上昇している点です。理由としては、コンタクトレンズの使用にあたっては医者の処方が必要なことがあり、利用する人が多いこと。レーシックや白内障手術などは治療時間が短く、傾向として回転率が高いことが考えられます。
また、規模の小さいクリニックでは、大規模な外科手術ができないため、外科の開業医は年収が下がる傾向があります。
診療科目 |
平均年収 |
産婦人科 |
4,551.9万円 |
眼科 |
3,377.9万円 |
整形外科 |
2,998.4万円 |
小児科 |
2,827.3万円 |
皮膚科 |
2,792.6万円 |
内科 |
2,582.4万円 |
精神科 |
2,455.8万円 |
外科 |
2,020.8万円 |
参照元:令和元年11月実施第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告
勤務医か、開業医かで同じ診療科目でも年収が異なることがあるので、知っておきましょう。
開業医は、勤務医よりも収入が多くなる傾向がありますが、注意すべき点があります。それは、開業医は支出も大きいという点です。開業医は、クリニックの家賃やスタッフの給与、販促費、事務用品費などは全て収入でまかなう必要があります。
また、個人事業主として開業しているなら、さらに社会保険料や税金を払った残りが初めて自身の手取りとなります。開業時に銀行から融資を受けている場合は、毎月の返済もしていかなければなりません。退職金に関しても自分で用意する必要があるので、クリニックの収入で積み立てて行く必要があります。
勤務医の場合は、毎月の収入は給与所得なので、国民年金と厚生年金部分の両方に加入をしています。そのため、老後受け取る年金額は個人事業主の開業医よりは、勤務医の方が充実しているというメリットもあるのです。
開業をすれば年収は高くなりますが、支出も多いことや、クリニックが軌道に乗るまでに時間がかかること。給与や業者の支払いや、銀行との融資の交渉、クリニックの宣伝など、スタッフが育成できるまでは全て自分で手掛ける必要があります。
今よりも年収を上げたい場合は、転職をするのも一つの方法です。医者が転職で年収を上げる方法をご紹介します。
医者の年収は勤務する医療施設の経営形態によっても差があります。施設別の年収ランキングは以下のとおりとなっており、公立や国立の医療施設よりも、医療法人の方が年収は高い傾向にあることがわかります。つまり、転職によって年収アップすることは十分可能なのです。
【勤務形態(施設)別年収ランキング】
順位 |
勤務形態(施設) |
年収(万円) |
1位 |
医療法人 |
1,640.7万円 |
2位 |
個人 |
1,597.3万円 |
3位 |
公立(※1) |
1,513.9万円 |
4位 |
社会保険関係法人(※2) |
1,469.1万円 |
5位 |
公的(※3) |
1,433.0万円 |
6位 |
国立 |
1,432.0万円 |
7位 |
その他(※4) |
1,419.7万円 |
参照元:令和元年11月実施第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告
※1)公立…都道府県、市町村、地方独立行政法人
※2)社会保険関係法人…健康保険組合及びその連合会、共済組合及びその連合会、国民健康保険組合など
※3)公的…日赤、済生会、厚生連など
※4)その他…公益法人、私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、その他の法人(宗教法人等)など
医師の年収は医療施設によっても異なる点以外にも、医師は都市圏よりも地方の方が需要は高く、高額な年収を提示していることが多いなど、年収を上げるために知っておいた方がいいノウハウがたくさんあります。今より高収入を得るために転職を検討するなら、一度プロに相談をしてみることをおすすめします。
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医者の平均年収は全職種の中でもトップクラスで、世間的にも高い年収と認知されています。しかし、医師の仕事は徹夜も多く、プライベートがほとんどなく割に合わないという人もいます。年収が高い診療科目はそれなりにリスクも高く、緊急対応が求められるため、一概に年収の高い診療科目がいいとは言い切れない面があります。
開業をすれば、年収は上がるといわれていますが、支出も多い点には注意が必要です。医者が年収を上げたい場合は、転職も検討してみましょう。医師の転職に特化した医師ベストキャリアのキャリアコンサルタントに気軽に相談してみるのがおすすめです。
大学を卒業後、冠婚葬祭の会社に就職し、葬祭ディレクターとウェディングプランナーを経験。
キャリアが変わっても同じ「人生のお手伝い」に喜びを感じています。