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キャリアアドバイザーコラム

医者を辞めたいときに検討すべきポイント|迷い解決のためのヒントも紹介

多くの人が憧れる医者という仕事ですが、さまざまな理由から医者を辞めたいと考える人も少なくありません。医者の労働環境は職場によっては非常に過酷で、まさに“医者の不養生”といえるような状況にある人もいます。しかし、辞めてしまう前に打てる手もあります。この記事では、退職を検討する医者が多い理由と改善策、転職という選択肢について解説します。

 

辞めたいと思ったことがある医者は6割

この記事を読んでいる医者の皆さんの多くは、退職もしくは環境の改善を望んでいるのではないでしょうか。実は、皆さんと同じように考えている医者は意外と多くいます。

全国医師ユニオンによる『勤務医労働実態調査2017』では、20代から60代の医者を対象にアンケートを実施。そのうち、職場を辞やめたいと思うことが「いつもあった」「ときどきあった」「まれにあった」と回答した人は全体の約6割との結果が出ています。

これは、少なくとも一度は辞めたいと考えたことのある医者が半数以上いるということです。では、多くの医者は何を理由に辞めたいと思うのでしょうか。ここからは、医者が辞めたいと思う理由や辞めたいと思いながら働き続ける理由について見ていきましょう。

辞めたいと思う理由はさまざまある

医者が「辞めたいと考える代表的な理由としては以下が挙げられます。

  • 医者特有の働き方によるもの(不眠、休日の少なさ、業務量過多)
  • 職場の人間関係
  • 医療訴訟が怖い
  • ライフスタイルの変化(結婚や育児)
  • 待遇への不満(給与や役職)
  • 新型コロナウイルス感染症の対応

最も顕著な理由は働き方の問題です。厚生労働省の指針によると、過労死ラインとされている月の残業時間は80時間とされていますが、これをオーバーして働く医者が約4割もいることがわかっています。人手不足や妊娠・出産、育児などのライフスタイルの変化に職場が対応できず、退職を選ばざるを得ないケースもあります。

医者の仕事は人の命を預かる以上、プレッシャーもかかります。尽力しても残念ながら救えない命もあります。遺族の感情が医者に向いて、厳しい言葉を浴びせられたり、訴訟トラブルになったりしてしまうことも。そのほかにも、患者やその家族、スタッフと、多くの人と接する職業だけに人間関係のトラブルを抱えやすいのも特徴です。これだけ肉体的、精神的に負担をかけているにもかかわらず、それに見合う待遇が得られない職場もあります。

近年は新型コロナウイルス感染症の流行により、もともと激務であったところからさらに休みがなくなったり、医師というだけで危険視されて避けられたりするといったことも医者が辞めたいと感じる理由として多く見られます。

出典:全国医師ユニオン『勤務医労働実態調査2017最終報告ダイジェスト版』/厚生労働省『医師の働き方改革について

辞めたいけど辞めないという選択

医者を辞めたいと思っても、実際に辞めるという行動に踏み出せない人も多くいます。そこには、下記のような理由があります。

  • 経済的な理由
  • 医者の仕事にやりがいを感じるときがある
  • 患者やその家族からの感謝
  • 学び、新しい発見が尽きない
  • 自分の仕事を評価して命を預けてくれる人がいる

第一に挙げられるのが、経済的な理由です。ほかの職業にもいえることですが、感情のままに退職してしまうと急に収入源がなくなり、自分や家族の生活を圧迫します。

また、収入には満足していて辞めたいと思う理由がほかにある場合、今の収入を手放すのが怖いと感じる人もいるでしょう。

さらに、難易度の高い手術の成功、新しい症例や術式との出会いなど、命を相手にする職業だからこその学びや刺激があります。医者という仕事を通じて磨いた技術により、患者やその家族に感謝されたり、遠方から訪ねてきてまで自分の技術を求めてくれる人がいたりと、やりがいを感じるからこそ辞められないと考えている人もいます。

医者を辞めたいけれど辞めないという理由は、決してネガティブなものだけではありません。

医者を辞めたい人が検討すべきこと

もしも医者を辞めたいと考えているのであれば、感情のままに突っ走って行動に移す前に、落ち着いて以下の3つについて考えてみてください。

  • なぜ辞めたいのか再確認する
  • どのような意味で医者を辞めたいのか考える
  • 辞めた後どうしたいのか考える

辞めたいと考える理由は職場環境や待遇、人間関係など人それぞれです。不満を抱えたまま無理をする必要はありませんが、完全に医者を辞める前に改善を試みることもできます。辞めるのは、環境改善の施策を試してみてからでもできます。一度踏みとどまり、後悔はないのか、辞めた後どうするのかなど、自分の考えと感情を整理しましょう。

なぜ辞めたいのか再確認する

医師免許を手にして医者として働くまでに多くの苦労を乗り越えてきたはずです。それでもなお辞めたいと考えるには、相応の理由が存在するのではないでしょうか。

漠然と「辞めたいな」とモヤモヤするのではなく、自分がなぜ辞めたいという気持ちになっているのか、具体的な理由を挙げてみてください。そして冷静に、辞めたい理由は辞めずに改善することはできないのかを考えてみましょう。

どのような意味で医者を辞めたいのか考える

ひと口に「医者を辞める」といっても、そこにはいくつかの意味があります。自分が、どのような意味で医者を辞めたいのかを考えてみてください。

医者を辞めることの意味には、以下が挙げられます。

  • 医者自体を辞めてしまいたい
  • 現在の診療科目を辞めたい
  • 激務の現状から解放されたい
  • 現在の人間関係から離れたい

医者自体を完全に辞めてしまいたいと強く思っている場合は、すでに医者を名乗ることすら苦痛に思っているはずですから、ご自身の精神と体調のためにも別の未来を検討すべきかもしれません。

一方、落ち着いて辞めることの意味を考えたとき、医者の仕事ではなく現在の診療科目、労働環境、人間関係が嫌で辞めたいと感じている場合は改善の余地があります。医者を辞めずに改善方法を模索してみることをおすすめします。

辞めた後どうしたいのか考える

「とにかく辞めたい」という感情で頭がいっぱいになってしまうと、辞めた後のことをなかなか考えられなくなります。当然のことながら、医者を辞めると収入が少なくなります。収入を得るあてはあるのか、やりたいことははっきりとしているのかなど、未来のことを考えてみてください。

医者を辞めた後も、ご自身や家族の生活は続きます。医者を辞めるという選択をするのであれば、それが自分や家族にとって明るい未来の第一歩であるべきです。そのためにも、辞めた後の計画をある程度立てておくことが大切です。

医者を辞めるかどうか迷っているときの解決のためのヒント

本当に医者を辞めるか迷っている場合、解決のためにどのように考え、どのような行動を起こすべきなのか、そのヒントをご紹介します。

  • 後悔しないように慎重に検討すべき
  • 人に相談するのも大事
  • 職場を変えるという選択肢もある

繰り返しになりますが、辞めるのは改善を試みてからでもできます。環境を変える余地がないのか、今一度検討を重ねるべきです。ただし、状況によっては辞めることをおすすめしたいケースもあります。

自分だけで考えることに限界を感じたら、各所に相談することも大切です。日頃は頼られる職業のため忘れてしまいやすいですが、自分が周囲に頼ってもよいことを思い出してください。

後悔しないように慎重に検討すべき

危惧すべきことは、いったん辞めてしまった後で「やっぱり辞めなければよかった」と後悔することです。事実、医局を辞めることによりデメリットになることもあります。

たとえば、先輩や同僚などとの繋がりがなくなることです。医局を辞めると、どうしてもコネクション力が弱くなります。また、海外での勉強や専門分野で治療を行うことが難しくなるでしょう。

逆に、医者を辞めたい理由次第では、踏みとどまらずに辞めたほうがよいと思われるものもあります。もし、辞めたい理由が以下のようなものであれば、このまま辞める方向で考えるのがよいでしょう。

  • 心身に不調があり休養が必要
  • 人間関係がストレス
  • 患者やその家族とトラブルになってしまった
  • 働きに見合った待遇を受けていない

過労による体調不良であったり、精神的に追い詰められていたりする自覚がある場合は、すみやかに休養を取るべきです。一刻も早く自身の肉体的、精神的健康のために動いてください。

人間関係のトラブルも強いストレスになるうえに、コネクションが重要な世界だけに、関係がこじれると影響も大きくなります。

もしも、手を尽くしたにもかかわらず、患者やその家族に努力が伝わらずにトラブルが起きてしまい、大事に発展してしまったら、一度職場を離れることも検討しましょう。医者の仕事は患者の口コミに左右されます。トラブルが深刻になると、その影響が将来まで及ぶ可能性があり、自身にとっても大きなストレスになります。

人に相談するのも大事

医者は多くの相談や悩みを聞く立場ですので、自分自身が相談をする立場になるのが苦手かもしれません。しかし、医者もひとりの人間。自分と家族を守るため、誰かに相談することをためらわないでください。もしも迷ったら、以下のような相手に相談してみることをおすすめします。

  • 上司
  • 家族
  • 医者の友人や先輩
  • 学生時代の友人、知人
  • 先に医者を辞めた友人、知人
  • キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザー

真っ先に頼りたいのは、やはり上司です。環境に問題があるのなら、上司に相談すると改善が期待できるかもしれません。上長との相性が悪ければ別の上司、上司のさらに上司と相談対象を広げて考えてみましょう。同じ業界のことをよく知った医者仲間も事情をよくわかってくれる相談相手です。医学部時代の友人や先に医者を辞めた友人は、ひょっとしたら別の道への手がかりを示してくれるかもしれません。

反対に、業界の異なる友人や家族は、一時的に仕事を考えずに済む話し相手となる場合もあります。

もっと具体的に将来のことを考えたいのであれば、キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーに相談するのがおすすめです。冷静な第三者であり転職のプロであるからこそ、自身にふさわしい環境や待遇を示してくれます。一所にいると見えにくい、最新の情報も教えてくれるでしょう。

働き方を変えるという選択肢もある

ここまで冷静に、辞めたいと思う理由などを考えてきた結果、環境や待遇、人間関係さえ改善できれば医者という仕事は続けたいという結論に達した場合、医者を完全に辞めてしまうのではなく、職場や働き方のスタイルを変えるという選択肢もあります。

臨床医、常勤医だけが医師免許を生かす道ではありません。以下のような仕事でも活躍できます。

  • 産業医
  • 保険医
  • メディカルドクター
  • 研究医
  • 医療ライター
  • 作家

社員の健康を管理する産業医や保険会社で査定を行う保険医は、基本的に企業の社員という立場になるため、安定した環境が期待できます。薬の開発を担うメディカルドクター、治療ではなく研究を行う研究医は、不特定多数の患者と接することがなくなります。

そのほか、現場から離れ、フリーランスとして自分のペースで働く医療ライターという選択肢もあります。ケガや病気の情報を載せるサイトでコラムを執筆したり、文章を監修したりする仕事です。また、挑戦する気持ちがあるのであれば、医療系の小説家という道も。医者兼作家が執筆したリアリティのある医療系小説は、ドラマ化されたものも多く人気のジャンルです。

転職で医者を続けるなら転職サイトがおすすめ

「職場を変えて医者を続けたい」「環境を変えたいという考えはあるけれど転職まではまだ踏み切れない」いずれの場合も、キャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーに相談だけでもしてみることをおすすめします。その際には、優秀で筋道を立てたキャリア設計を提案してくれるような能力のあるエージェントを選ぶのが良いでしょう。優秀なエージェントは無理に転職をすすめるのではなく、相談者の気持ちや人生設計そのものを見てくれます。

数ある転職サイトの中でも『医師ベストキャリア』のエージェントは国家資格キャリアコンサルタント資格と併せて、ファイナンシャルプランナー資格を持ったダブルライセンス者が所属しています。次の転職の最大条件ともなる「年収交渉」だけではなく、転職後の「マネープラン」も見据えた設計提案を行っているのが特徴です。プロフィールも公開されているため、事務的な対応ではなく、人として親身に相談に乗ってもらえることが期待できます。

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まとめ

医者を辞めたいと考えたら、なぜ辞めたいのか、その理由を冷静に見つめてみてください。医者そのものを辞めてしまうのではなく、職場を変えたり、医師免許を生かせる別の仕事を選んだりすることで、医者にしかできない仕事を続けることができます。まずは、身近な人、そして転職のプロであるキャリアコンサルタントやキャリアアドバイザーに相談してみてください。


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国家資格キャリアコンサルタント
八木橋 辰夫Tatsuo_Yagihashi

紳士服の営業として13年勤務。その後MR、管理職として医療業界に18年携わる。これまでの経験を活かして良縁転職のご支援をいたします。

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