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外科医は数ある診療科目の中でも比較的高収入といわれていますが、実際いくら位が相場なのでしょうか?この記事では、年収アップのために外科医に転科を考えている人、外科医で働いているけれど自分の年収が適正か知りたい人向けに、外科医の年収に関する情報を網羅しています。また、外科医として年収アップを希望する人向けに、キャリアアップの方法も解説しています。医師としての年収アップを考えている人はぜひ参考にしてください。
JILPT(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)が発表した、「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、外科医の年収は1,374.2万円です。
また、JILPTの同調査によると、医師全体の平均年収は1,261.1万円となっており、外科医の年収は他の診療科目の平均よりも高いことがわかります。また、外科医の年収階層別の分布は以下のとおりで、年収1,500~2,000万円未満が約4割となっています。
外科医の年収階層別分布 | 割合(%) |
300万円未満 | 2.1 |
300~500万円未満 | 2.4 |
500~700万円未満 | 4.7 |
700~1,000万円未満 | 11.8 |
1,000~1,500万円未満 | 27.9 |
1,500~2,000万円未満 | 39.1 |
2,000万円以上 | 12.1 |
外科医と、従事している医師数が最も多い内科医の年収を比較してみましょう。
診療科目 | 平均年収 |
外科 | 1,374.2万円 |
内科 | 1,247.2万円 |
麻酔科 | 1,335.2万円 |
整形外科 | 1,289.9万円 |
脳神経外科 | 1,480.3万円 |
小児科 | 1,220.5万円 |
産科・婦人科 | 1,466.3万円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267.2万円 |
精神科 | 1,230.2万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078.7万円 |
救急科 | 1,215.3万円 |
放射線科 | 1,103.2万円 |
続いて診療科目別に、医療施設に従事する医師数ベスト5をまとめてみました。外科医は7位となっています。
順位 | 診療科目 | 医療施設に従事する医師数(人) |
1位 | 内科 | 60,403 |
2位 | 整形外科 | 21,883 |
3位 | 小児科 | 17,321 |
3位 | 臨床研修医 | 17,321 |
5位 | 精神科医 | 15,925 |
7位 | 外科医 | 13,751 |
一般的に、医療施設に従事する医師数が多い診療科目は、希少性は低くなり、年収も低くなる傾向があります。外科と内科の年収を比較すると、127万円の差があります。これは、内科医は投薬中心の治療が多く、医師の負担が低い一方、外科医は、外科手術をすることも多く、高度な技術が必要となるためです。
その他、産婦人科、脳神経外科も平均年収が高い診療科目ですが、産婦人科は、分娩の始まりの予想がつきにくいためオンコールが多いうえ、訴訟リスクが高い傾向にあること、脳神経外科についても、くも膜下出血や脳内出血など突然発症によりオンコールが多く、常に繊細な技術が必要とされることが要素として考えられます。
外科医は非常にハードな診療科目と感じている人が多いかもしれません。ここでは、外科医の働き方の特徴と、必要なスキルについて解説します。
外科医(一般外科)の医師数は13,751人で診療科目の中でも多い部類にあるものの、手術が多く、人の生命に直結する場面が多いことや、1週間当たり60時間以上働いている割合が43.1%と最も多いこと、月あたりのオンコールも多く4回以上対応している割合が29%と他の診療科目に比べて負担が大きいという特徴があります。しかし、こうした状況が外科医の減少を招くという懸念から、現在は外科医の職場環境の改善を求める動きが進んでいます。
外科医は、大学病院や一般病棟の勤務医として常勤で働くケースが多いですが、常勤や非常勤、アルバイトで勤務をすることも可能です。求人は常勤がほとんどですが、週5日程度、勤務時間がしっかり定められています。また、子育てをしながら働けるよう、託児所や院内保育所を備えているところもあるため、女性も働きやすい環境が比較的整っている分野といえるでしょう。
外科医は手術の内容によっては、人の生死が関わってくるため、手先の器用さが求められるほか、その場で予想外のことが起こっても冷静に対処できる判断力も問われます。また、手術が長丁場になることや、緊急対応に駆り出されることも多いため体力勝負の側面も。
しかし、人の命を救ったときや、容態が快方に向かったときの喜びはひとしおと感じる人も多く、やりがいをもって取り組めます。
外科医を含めいずれの診療科目も医師としてキャリアや経験を積めば年収はアップしていきます。
外科医(一般外科)のキャリアプランとしては、以下の方法があります。
外科医(一般外科)のキャリアプランとして、特定分野の専門性を高め、手術を含めた後進の指導で活躍をする働き方です。ただし、このキャリアで転職する場合は、転職時の年齢に注意が必要です。チームで治療をすることが多い分野では、現部長より年上の医師が採用されるケースはあまりありません。比較的早い年齢で検討をするか、少人数で動く専門領域に転職をすれば、年齢の制約がほとんどなく選択肢が広がるでしょう。
また、医師は経験やキャリアを積み重ねていけば、年齢に応じて収入が上昇する傾向にあるため、このキャリアプランで転職できれば、年収アップにつなげることが可能です。
先述の専門性を高めるとは真逆の考え方で、外科診療全般を診るというキャリアプランもあります。
地域密着の医療施設の中には、急性期施設などで広範囲な外科疾患を扱うケースも多く、外科診療全般を診ることの多い外科医であれば柔軟に対応できると期待されているためです。
必要に応じたスキルを身に付け新しい職場に順応していくことで、さまざまな施設に歓迎され、次第に活躍の場は広がっていきます。
医師は、働く地域や経営母体によっても年収が異なるため、キャリア、経験との相乗効果で収入を増やすことが期待できます。
外科医は高い技術が求められ、人の命に関わるケースも多いため、体力の衰えなどから他の診療科目に転科を検討するケースも多いようです。最も多いのは、一般内科への転科です。新たに求められるスキルも多いうえ、先述の通り、年収については外科よりも内科の方が低い傾向にあるため、年収が下がる可能性はありますが、厚生労働省の必要医師数実態調査によると、内科医は医師の数が最も多い診療科目にもかかわらず、必要医師数は3,976人と最も人手が不足しているため、高い需要があります。
今と異なる施設での勤務や、独立開業によって働く場所を変えることもキャリアアップの方法の一つです。
JILPTの調査によると、施設別の勤務医の年収ランキングは以下の通りです。勤務する施設によっては年収アップが期待できます。
順位 | 勤務形態(施設) | 年収(万円) |
1位 | 医療法人 | 1,640.7万円 |
2位 | 個人 | 1,597.3万円 |
3位 | 公立 | 1,513.9万円 |
4位 | 社会保険関係法人 | 1,469.1万円 |
5位 | 公的 | 1,433.0万円 |
6位 | 国立 | 1,432.0万円 |
7位 | その他 | 1,419.7万円 |
また、軌道に乗るまで時間がかかる可能性はありますが、勤務医よりも、開業医は年収が高い傾向にあるため、これまでのキャリアを生かして、自分のクリニックを開業することで大幅な収入アップが期待できます。
勤務医平均年収 | 1,490.9万円 |
開業医平均年収 | 2,763.4万円 |
外科医として働いているなかで、日々のハードワークによって将来に不安を感じる人や、より収入アップを希望する人もいるかもしれません。自身のキャリアプランに悩みがある人は、20年の実績をもつ医師専門の転職エージェント医師ベストキャリアにぜひ相談してみましょう。
外科医は他の診療科目よりも労働時間が長く、オンコールも多くハードな傾向にありますが、年収は高めです。また、手術の結果が人命に直結することもあるため、責任が大きい側面もありますが、人の命を救ったというやりがいを感じている医師も多いです。
外科医としてのこれまでのキャリアは、その他の診療科目や、さまざまな施設で生かすことができるうえ、年収アップにもつなげることができます。自身の外科医としてのキャリアに悩み始めたら、専門家に相談してみましょう。
大学を卒業後、冠婚葬祭の会社に就職し、葬祭ディレクターとウェディングプランナーを経験。
キャリアが変わっても同じ「人生のお手伝い」に喜びを感じています。